ＦＩＣＣ環境憲章自然との調和をめざして
- ＦＩＣＣ会長
ラルス・ダールベルク
挨拶
ＦＩＣＣは、キャンピングおよびキャラバニングの利益を代表することを使命とする世界で唯一の国際組織です。
ＦＩＣＣは１９３３年に、ヨーロッパの幾つかのキャンピングクラブの互恵を図ることを目的に設立されました。今日、ＦＩＣＣには５大陸から３４カ国５８のキャンプ団体が加入しています。また北米とアジアには、完全に独立した地域委員会があります。
ＦＩＣＣの活動で最もよく知られているのは、おそらく毎年開催される世界大会でしょう。しかしＦＩＣＣはもっと多くの仕事を行っています。世界中のエキスパートが集まる委員会がそれぞれの分野で積極的に活動している成果として、今日キャンピングおよびキャラバニングは健全なレジャーであることが広く認知されているのです。
私たちにとって環境と自然は非常に重要です。自然を大切にし、未来の世代に持続可能な環境を残すことは私たちの目標のひとつです。私は、この憲章がこの目的に少しでも役立つことを願っています。
序文
近年、私たちの日常生活が環境に与える負荷について議論が活発におこなわれています。キャンピングおよびキャラバニングの世界は自然を包含しており、その活動が自然環境にダメージを与える危険性を宿しています。それゆえ、キャンピングおよびキャラバニング活動が私たちの住む世界に与える破壊的な作用を、最小限に押さえる方策を講じることが必要です。
この憲章の目的は、私たちのホビーが及ぼす否定的な作用を、社会全体で見て少なくすることです。以下の勧告は、キャンプ場、キャンプ用具およびキャンピングカーを対象とし、それらの製造者、所有者および利用者に環境に対する配慮を促すものです。
勧告
キャンプ場の開発者および所有者に、次を勧告します。
- キャンプ場に生育している自然の植生をできるだけ保存する。
- キャンプ場の建設中および建設後、周辺地域に被害を出さないようにする。
- 自然および学術に対する興味を喚起するようなエリアを創出する
- キャンプ場の運営にはできるだけ再生可能なエネルギー源を使用する。
- テントおよびキャンピングカーを定期的に移動して芝生に与えるダメージを減らす。
- ピーク時の利用の集中を緩和するため営業期間を長くする。
テントの製造者に、次を勧告します。
- 設営時にテントが地面に与えるダメージを最小限に押さえるように設計する。
- リサイクル可能な素材を使用する。
キャンピングカーの製造者に、次を勧告します。
- Ｃｄ値（空気抵抗係数）が小さくなるように設計する。
- ボディーや家具には軽量の材料を使用する。
- リサイクル可能な材料を使用する。
- 断熱効果の高い材料を使用する。
- 内装に使用する木材は人工的に管理された樹林のものを使う。
- 自家用に再生可能なエネルギーを使用する。
- 車体装備の必要性を分析する。
車の利用者に、次を勧告します。
- 荷物を過剰に積み込まない。
- 現地で調達できる品物は車で運ばない。
- 車内の過剰な暖房や冷房を避ける。
- 車から出るオイルや燃料などで地面を汚さない。
- 燃費を少なくする運転を心掛ける。
キャンプ場の利用者に、次を勧告します。
- 設営するエリアを大切にし、良好な状態で帰る。
- キャンプ場周辺を観光する際は公共の交通機関を利用する。
- 水を暖めるために太陽エネルギーを使用する（ブラックバッグ）。
- 化石燃料の消費量を減らすために共同炊事場や薪を利用する。
- 芝生に与えるダメージを減らすため備品をときどき移動させる。
２０００年１１月
